「残念なサイン」コレクション

福地研究室では様々なインタラクティブシステムを研究対象としていますが、残念ながら世の中出来のいいシステムばかりではなく、大変残念な出来のものが数多く存在しています。(参考: 楽しいBADUIの世界

街中で見かける、そんな残念なシステムには時折、そのシステムの使いにくさを補うために後付けで貼り紙やラベルが貼られていることがあります。

トイレの扉に貼られた、鍵の開閉方法を示した貼り紙と、扉を開ける方向を示した貼り紙。わかりにくい鍵のデザインを補っている。2016年に福島県相馬市で発見。

逆に言えば、こうした貼り紙はそこに使いにくい残念なシステムがあるという兆候(サイン)であると考えることができます。福地研究室ではこうした貼り紙やラベルを「残念なサイン」と呼んで、収集を続けています。

本記事ではこれまでに集められた残念なサインのうち、特に残念なものをご紹介します。(ちなみに福地研では定期的に残念なサインのコンテストを実施し、特に支持を集めたものを「残念賞」として顕彰しています)

ボタンが違います

トイレは残念なサインの宝庫。特にボタンまわりに秀作が多く見られます。

都内のとあるホテル内のトイレで発見したもの。赤いボタンはスタッフを呼び出すための緊急呼出ボタンなのですが、「緊急呼出」の文字は後から貼られたラベル。トレイという場所柄、水を流すボタンと間違えて押される方も多かったのでしょう。

このように、製品に対して直接ラベルプリンターで印刷したラベルを貼り付けるタイプの残念なサインを、特に「デザインの絆創膏」と我々は呼んだりしています。一頃話題になったコンビニエンスストアの自動コーヒーマシンでもこの種の絆創膏が大活躍していましたが、絆創膏あるとこに、やはりデザインの問題点が潜んでいます。

消えゆくサイン

これは2013年にあるショッピングモールのトイレで撮影したもの。この角度から見ると「大」「小」のボタンはよく見えますが、トイレを座って使用すると高さの都合でちょっとボタンが見えにくくなります。それを補うために「↑上部のボタンを押すと流れます。」というラベルが貼られた、というのがおそらくの経緯。ところが4年後の2017年には、大き目の残念なサインが追加されていました。

見てみると、「大」「小」ボタンの印刷がだいぶかすれて見えなくなっています。これを補うのがこの貼り紙の目的でしょう。なお、他のボタンにも上からテープラベルが貼られています。頻繁に押されることが想定されるボタンのラベルは丈夫に作る必要があるようです。

NOT AN EXIT

アメリカの国際空港で撮影。”EXIT” のサインの真下に “NOT! AN EXIT” と手書きで注意が追加されています。飛行機を降りて、入国審査のゲートを出るとすぐ真正面にこの扉があるため、ついそこから出たくなってしまうのは人情というものでしょう。

残念大賞

最後は、過去最高の支持を集めた「残念賞」作品の中から大賞作品をお送りします。

これは立川市のアートプロジェクト「立川アートコレクション」に登録されているある作品。街中の建物の塀にブロック状の石が埋め込まれているのですが、その作品の脇に掲示された貼り紙がこれ。

「アートではあそばないでください。」という文言の破壊力もさることながら、青空を背景にしたデザインも含めて素晴しく、文句なしの大賞です。

以上、「残念なサイン」コレクションをお届けしました。