我々は歴史上の著名なスピーチやプレゼンテーションを、その話者になりきって追体験できるVRシステムを開発しています。追体験を通して、話者がどのような気持ちを抱きながら聴衆に向きあったのかを考え、またそのスピーチやプレゼンテーションの歴史的意義を体験者に考え理解させる効果を狙っています。
システム
本システムでは追体験を促すために、
- VRによる環境の再現
- スピーチ/プレゼンテーションのセリフ字幕・スライド送り指示・身振り指示の提示
- スピーチの進行に応じて反応する仮想観客
を実装しています。
体験者はヘッドマウントディスプレイとハンドコントローラを装着し、仮想空間内でスピーチやプレゼンテーションを行います。仮想空間内のアバタのポーズはハンドコンローラを通じて体験者のポーズと連動します。仮想空間の設計はコンテンツに応じて用意します。現状は 2007年の Macworld における Steve Jobs のプレゼンテーションを題材に研究を進めているため、大型のプレゼンテーション会場を模したものを使用しています。
会場には仮想観客を配置しています。仮想観客はスピーチやプレゼンテーションの進行に応じて様々な反応を返すように設計しています。例えばスライドが変わればスクリーンの方を向いたり、体験者が大きく動けばその方を向き、話の内容に応じて拍手したりするなどです。仮想観客には個性が設定されており、それぞれの興味に応じて反応の仕方が異なるようになっています。
体験者の視界には、スピーチ/プレゼンテーションの進行に即して様々な指示が提示され、体験者はそれを見ながら追体験をします。主にはセリフの字幕(①)および身振りの指示(②)が提示されるほか、立ち位置(③)やスライドめくり(④)のタイミングを指示するアイコンが必要に応じて表示されます。
論文
- “VRプレゼンカラオケ:プレゼンテーション練習のための高臨場感VRシステムの提案“ 和田毬那, 福地健太郎: WISS2018
- “大人数仮想キャラクターの表情デフォルメによる視認性向上手法の提案およびプレゼンテーション練習システムへの応用“ 和田毬那, 福地健太郎: 第24回バーチャルリアリティ学会大会 (2019)