視線逸らし行動が与える印象の調査

近年、CG キャラクタによる対話エージェントの実利用が進んでいます。エージェントの表情の生成においては、発話時だけでなく、相手の話を聞いている間のうなずきや表情変化など、非言語的情報の表現が重要になります。特に、人間とエージェントとの間での発話交替に関連した非言語情報の表現は、自然な対話やエージェントの印象向上に寄与すると考えられています。

本研究では、人間同士の対話における発話交替時のジェスチャに着目し、プロのインタビュアーによる模擬インタビューを実施・分析した結果、インタビュアーが発話前に対話相手から視線を斜め上に逸らしつつ、発話内容を吟味してから正面に視線を戻して質問を行う、「視線逸らし行動」を特徴的な仕草として抽出しました。

この視線逸らし行動を対話エージェントに実装し、実験を行いました。被験者はエージェントと対話し、視線逸らし行動の有無が印象に与える影響をアンケートで評価しました。その結果、視線逸らし行動を取り入れることで、エージェントが知性的に発話内容を理解し応答しており、「聞き上手」であるという印象が強化されることが示されました。

実験環境の様子

実験環境の様子

発表文献

  1. 口頭発表: “視線を逸らすアバタは聞き上手:発話前行動としての視線移動が与える印象の調査” 杉田 修建, 福地 健太郎, 第27回日本バーチャルリアリティ学会論文集, pp. 3C2-4. LINK (2022)
  2. 論文誌: “視線を逸らすエージェントは聞き上手: 視線逸らし行動が聞き手印象に与える影響の調査” 杉田 修建, 福地 健太郎, 情報処理学会論文誌, Vol. 64, No. 11, pp. 1474-1482. DOI: 10.20729/00229299 (2023)

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