近年、CG キャラクタによる対話エージェントの実利用が進んでいます。エージェントの表情の生成においては、発話時だけでなく、相手の話を聞いている間のうなずきや表情変化など、非言語的情報の表現が重要になります。特に、人間とエージェントとの間での発話交替に関連した非言語情報の表現は、自然な対話やエージェントの印象向上に寄与すると考えられています。
本研究では、人間同士の対話における発話交替時のジェスチャに着目し、プロのインタビュアーによる模擬インタビューを実施・分析した結果、インタビュアーが発話前に対話相手から視線を斜め上に逸らしつつ、発話内容を吟味してから正面に視線を戻して質問を行う、「視線逸らし行動」を特徴的な仕草として抽出しました。
この視線逸らし行動を対話エージェントに実装し、実験を行いました。被験者はエージェントと対話し、視線逸らし行動の有無が印象に与える影響をアンケートで評価しました。その結果、視線逸らし行動を取り入れることで、エージェントが知性的に発話内容を理解し応答しており、「聞き上手」であるという印象が強化されることが示されました。

実験環境の様子
