Gaze Tiling

視線データ分析において、研究者は被験者の注意がどこに向けられているかを時系列の視線位置データから分析します。本研究では、3つのタイムラインを組み合わせた新しい可視化ツール「Gaze Tiling」を提案しました。従来の可視化手法では、動画上を遷移する視線位置の変化を把握するのは困難でしたが、本手法では性質の異なる3つのタイムラインを併用することでこの問題を解決しています。

Gaze Tiling は以下の3つのタイムラインから構成されます:

Context Timeline
TimeSpaceSlice法を用いて映像の時空間変化を可視化
Focus Timeline
視線位置周辺の画像をタイル状に配置して表示
Color-coded Gaze Plot
視線位置座標を2次元カラーマップを用いて可視化

タイムライン比較

Focus Timeline を見ると、被験者が見ている対象の時系列での変化がわかります。Context Timeline には TimeSpaceSlice法を用いており、一般的なサムネイルでは表示されない、短い間に起きた映像の変化が可視化されます。

適用例

麻雀ゲームを用いた実験では、初心者と上級者の視線パターンに明確な違いが観察されました。

初心者の視線分析 上級者の視線分析 color map legend

上級者は手牌だけでなく、相手の捨て牌や場の状況を幅広く観察していることが分かります。

発表文献

  1. 研究報告: “TimeSpaceSlice法を用いた視線移動分析における注視位置と状況変化の可視化” 楠 駿也, 福地 健太郎, 情報処理学会研究報告 Vol.2024-HCI-209. LINK (2024)
  2. デモ: “GazeTiling: 注視位置と場面の時系列変化を同時に可視化する視線分析ツール” 楠 駿也, 福地 健太郎, 第32回インタラクティブシステムとソフトウェアに関するワークショップ(WISS 2024)論文集. LINK (2024)
  3. ワークショップ発表: “Gaze Tiling: A Gaze Analysis Tool Visualizing Eye-Tracking Data and Temporal Scene Changes” Shunya Kusunoki, Kentaro Fukuchi, Proc. of the 2025 Symposium on Eye Tracking Research and Applications. DOI: 10.1145/3715669.3725878 (2025) — 🏆Honorable Mention

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