高精度な3Dプリンタが安価に使えるようになってきたことで、誰でも簡単に印章(はんこ)の偽造ができるようになっていることを受け、そうした偽造印章の精度を調査しました。紙に捺印された印影をスキャンして印面データを作成し、複数の3D印刷技術(CNCフライス、レーザー加工、フォトリソグラフィ、マテリアルジェッティング)を試したところ、アクリルを用いたマテリアルジェッティング方式がもっとも高精度でした。
この偽造印章を使って、印章照合の経験を持たない大学生26名を対象とした真贋判定実験を実施したところ、全体の正答率は約77%となり、偽造した印章による印影のうち25%が本物と誤判定される結果となりました。特に実験の最初の段階では正答率が低く、経験を積むにつれて判定精度が向上する傾向が見られました。この結果から、日常的な書類での認印レベルの印章であれば、提案手法による偽造印章でも十分に通用する可能性が高いことが示されました。

3Dプリントした印章
