上達感の獲得と持続意欲に与える影響

コンピュータゲームにおいては、プレイヤーの実力とゲームの難易度が釣り合っている時に「面白さ」や没入感が生まれるとされています。一方で、初心者にとってそのゲームが難しすぎると、上達を実感する前にゲームから早期離脱してしまうことも考えられます。そこで、本研究では砲台型シューティングゲームを用いて、プレイヤーが「上達している」と感じる感覚(上達感)をどのように生み出し、それがゲームの継続意欲にどのような影響を与えるかを調べたものです。また、プレイヤーの操作に対して見えない形で「当たりやすくする補助」を加えることで、まるで自分の腕前が順調に上がっているように感じさせることのできる手法の開発と評価も行いました。

本研究にて利用したゲームに実装した補助は、プレイヤーが操作する砲台が弾を発射した際に速度を基に着弾予測を行い、もし的に届かないことが分かった場合には的に届くように弾の速度に補正を加えるというものです。これにより、実際にプレイしている画面上では的に弾が当たりやすくなります。この補助を、プレイヤーが成績の伸びを実感しにくい時に適応することで、上達感を得られやすいようにします。

補助の概要図

実験により、プレイヤーが飽きたり離脱したくなったりするタイミングが、成績が伸び悩む「低迷期」や「停滞期」に重なることを確認しました。そして、プレイヤーに気づかれずに弾の速さを調整することで、命中率を補う補助が可能である条件を実験によって明らかにしました。同時に、命中率を高める補助はプレイヤーに上達感を与えることにも繋がり、プレイ継続に対する意欲が向上する可能性も示されました。

発表文献

  1. 研究報告: “砲台型シューティングゲームにおける上達感の獲得と持続意欲に与える影響の研究” 宮下 秀範, エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2019論文集. LINK (2019)

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